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【地名の由来】「奈」は浦の意。「佐須」はやはり砂の洲からきており、時代とともに海が土砂で埋もれて洲になり、そこに村が誕生した。 |
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佐須奈は、小説よりも奇なり。 |
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小説の舞台となった村 この村は、直木賞受賞小説「海狼伝」(白石一郎著)の中で海賊たちに占領され、その拠点にされてしまったが、もちろんフィクションだ。作者がこの地を海賊の住処(すみか)に選んだのも、地の利、地形など、さもありなんというロケーションゆえではないだろうか。 その小説にも書かれているように、佐須奈は湾口から約1.5kmも切れ込んだ入江の奥にあり、古くから栄えた天然の良港だ。湾の中には大小の瀬が点在し、船の航行を妨げるが、それは同時に荒波を防ぐ役割も果たす。当時島府が置かれた府中(現厳原)からは遠く、朝鮮貿易を行う船の往来をチェックできる。海賊の拠点としては好位置にあった。 海の関所と密貿易 1672年(寛文12年)に対馬海峡と浅海湾を結ぶ大船越瀬戸が開通すると、浅海湾を抜けて朝鮮に向かう船を管理するために佐須奈に関所が置かれた。それまでの鰐浦の関所は冬季のみとなり、佐須奈が朝鮮往来のメインの関所となった。いわゆる御法度の品々、特に武具の持ち出しと、朝鮮人参の輸入が厳しく吟味され、違反した者には、死刑、流刑、奴刑などの厳しい刑罰が科せられた。密貿易は藩の財政を危うくする一大事であったからだ。佐須奈湾の北にある遠見山には遠見番所を置き、朝鮮海峡を渡る船の関所破りを監視した。 なりわい無常 佐須奈は1471年の朝鮮の書『海東諸国紀』では400余戸と記載されている。関所設置27年後の元禄の郷村帳(1699年)でも90戸となっているのを考慮すると、数字としてはあまりにも過大だ。歴史家によると、その多くは零細な塩焚き(製塩)であろうとのこと。おそらく製塩に関わる施設も計算されたのだろう。塩は、朝鮮の米と物々交換をするための重要な資源であり、貧しい漁民の輸出品だった。しかし関所が設置されればそれもできない。 1699年(元禄12年)の郷村帳のデータで面白いのは、猟師が46人と非常に多いことだ。専業猟師ではないが戸数で割ると51%。対馬では瀬田の71%に次いで2位だ。獲物はやはり鹿と猪だろうか。しかし、この統計の翌年に始まった殲猪(せんちょく=猪狩り)で、対馬には猪がいなくなってしまったのだ。 2002年夏 2002年の夏休みの頃、テレビの朝のワイドショーに佐須奈が登場した。「巨大生物出現!」という見出しで紹介されたのは、素人ビデオで撮られた、なんと体長30センチ以上もある大ナメクジだった。しかしテレビクルーが到着した時には、そのナメクジは町民に塩をかけられて消滅していたのだった。 1998年(平成9年)には、ヘビダコが出現したと騒がれた。こちらもちゃんと写真に写っている。ヘビだと思ったら、脱皮して頭が大きくなって蛸になったらしい。新聞社に写真を送ると青ダコの一種だと返事があったらしいが、タコが脱皮するかとの反論もあり、その真相はわからないまま。佐須奈は、ちょっとしたミステリアス・ゾーンだ。 |
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